大樹町からお届け畑の真ん中だより

畑は学びの宝庫です!~こども秘密基地BASEのみんなの農場体験

2025年9月26日

オーランドファームでは、南十勝で不登校の子どもや保護者を支援する団体「こども秘密基地BASE(ベース)」のみなさんの農場見学を受け入れました。BASEは「学校でも家でもない第3の場所」を合言葉に、子どもたちが自分のペースで学び、挑戦できる活動をしています。主に毎週水曜日に、ゲーム大会や調理実習、ボランティアなど、さまざまな活動をしているそうです。今回はご縁がつながり、畑での学び体験が実現しました。 

学校じゃなくても畑で学べる

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参加してくれたのは小中学生の親子36名。社長とのやりとりからスタートです。
「学校に行かない理由は?」
「眠い」「そんな気分じゃない」
子どもたちの答えは素直そのものです。

生きていくためにお金は必要か、暮らすために何が必要か。社長からの質問に、子どもも保護者も一緒に考えます。正解はありません。でも「わからないと困ることがあるよね」という言葉にうなずく子どもたち。例えば、食べられる草を知らなければ毒草を食べてしまうかもしれない。地理や歴史を知らなければ、いま起きていることを理解できない。そんな気づきこそが大切な学びです。

学校がすべてではないけれど、学ぶこと自体は生きる力になる――今日は畑でそれを感じてほしい、そんな思いを伝えました。

畑で算数、理科、社会

ここからは三男・託三(たくみ)が案内役を務めます。

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種を植えてから約1カ月のダイコン畑でクイズ。
「この畑は向こうまで250mあります。株と株の間は20cmです。では1列に何本のダイコンが植えられているでしょう?」

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子どもたちは地面に筆算して答えを導きます。

続いて出荷間近の畑へ。ダイコンは種まきから約60日で出荷できる大きさになります。
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ダイコンを抜いてみます。結構力がいる!
「さっきの畑と葉っぱの角度が違うでしょう?収穫が近付くと葉っぱがパラボラアンテナのようにぐぐーっと立ち上がって、隣のダイコンの葉と重ならずに、うまく光合成ができるようになるんです」という説明に「すごい!」と歓声が上がりました。

さらに葉を食べ比べ「植えて1カ月の葉っぱはえぐみがあるけど、こっちはおいしい!」と新たな発見も。
抜きたてのダイコンを観察し、葉の角度から光合成を学び、味の違いを感じる――まるで理科の授業です。

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収穫後の畑に点々と残されたハネモノ(規格外品)を見て、「もったいない」の声が上がります。
「スーパーで選んでもらうには見た目も大事」「多様性は社会も畑も豊かにする」
多様性や経済の仕組みにまで話が広がり、社会科さながらの時間になりました。

農家になってから勉強し直した

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「自分は学校の勉強が嫌いだったのね。でも農業を始めてから学ぶことがたくさんあった。おいしいダイコンを作りたい、病気に強いダイコンを作りたい。そのために『元気に育つ』ってどういうことかを考えた」
農家になってから改めて勉強し直したこと、学校で習った知識が畑で役立っていることを、体験談とともに伝えました。 

機械と仕事を知ると、もっと楽しい!

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ハーベスター(収穫機)にみんなで乗ってみます。
「これテレビで見たことがある!ここにダイコンが流れてくるんでしょ?ここから葉っぱを落とすんでしょ?」
一度映像を見ただけで仕組みを理解している子どもたちに、こちらがびっくりしてしまいました。素晴らしい!

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ダイコン選果場も見学。次々と流れるダイコンと選別のスピードに目を丸くします。

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さらに段ボールを組み立て、ベルトコンベアに流す作業に挑戦。「楽しい!」「またやりたい」と大喜びです。

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「清流だいこんはどこで食べられるの?」という質問も。
「ほとんど関東に出荷しているけれど、町内の給食に無償提供しています」と答えると
「給食で食べられるんだ!学校に行ってないけど」と笑いが起きました。 
ソバの乾燥機やコンバインも見学。コンバインの大きさや運転席の高さに子どもたちは目を輝かせていました。

子どもたちの感想

  • 畑や選果場のようすが見られてよかった
  • 出荷用段ボール作りが楽しかった
  • ダイコン収穫機に乗って収穫作業をしてみたい
  • 今夜はもらったダイコンで豚バラ大根を作ってもらう!
    「明日また来たい!」と声をあげる子も。

教育の根っこは「学びたい」という気持ち

学校に行っても行かなくても、学ぶタイミングは人それぞれ。興味をもって知りたいと思った瞬間こそ、学ぶチャンスだと考えています。
畑には算数も理科も社会も詰まっています。何より「働くこと」自体が大きな学びです。オーランドファームはいつでもみなさんを歓迎します!手伝いでもアルバイトでも、学びの場としてでも。畑は、学校じゃなくても学べることを教えてくれる場所です。

おまけ~十勝海霧そば、収穫終了!

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今年は作付面積を10ha増やした十勝海霧そば。収穫は94日から16日まで行われました。最後に収穫予定だった畑は13日の暴風雨で実が落ち、約2haは収穫が皆無でした。このため作付面積は増えたものの、収量は昨年並み。現在、専門業者による等級付けや調整を進めています。新そばが待ち遠しいですね!