大樹町からお届け畑の真ん中だより
日米ソバ農家アフタートーク「目指すものは健康!」
アメリカ・メイン州で飲食店を経営する佐藤隆宏さんと、ソバなどの生産をしているウイリアムズさん一家など総勢7名が大石農産のソバ畑にいらっしゃいました!
→詳しくは蕎麦処開拓舎のfacebookページ(アメリカからの素敵なお客様)、開拓舎ブログ(日米ソバ農家のトークは、濃くて深くてアツかった!)でご報告しておりますので、ぜひ併せてご覧ください。
左から栗田さん、リンダさん、サラさん、マーカスさん、大石社長、マシューさん、佐藤さん、福島さん
その時に大石社長と交わされた「日米ソバ農家トーク」の多岐にわたるテーマの中から、開拓舎ブログに載せられなかった「もっと濃くて深い話」をご紹介。同業者である彼らの「お互いをどのように感じたのか」に迫ります。
あうんの呼吸でわかりあえる
開拓舎ブログに「農家の自己紹介は畑の規模と作物が基本」と書きましたが、これは本当にそうなんですね。
大石:
そうだね。最初に畑の広さを紹介し合ったので、同じくらいの規模で経営していることがわかった。生産している作物も、こちらは大根とソバ、あちらは小麦系とソバ、と多少異なるけれど、十勝は小麦農家が多いので、おおよその作業や流れがわかるからすぐに理解できた。
ソバの播種日も近かったので、似たような気候であることがわかったし。
やっぱりそのあたりを押さえておかないと話がかみ合わないからね。
逆にそこがわかったので、細かい話は聞かずとも様子が想像できて、より理解し合えたと思っている。
同規模の畑の広さゆえ、トラクターや農業機械などの大きさも同規模。真剣に見ています。
肥料は鶏ふん
ウイリアムズさんは何度も「うちはオーガニックだから」とおっしゃっていました。
大石:
それが彼らの誇りであり、プライドであり、自信なんだ。だから「肥料は鶏ふんオンリー」と言い、スプレイヤー(殺虫剤などを散布するための作業機械)を見て「殺虫剤は使わない」と言ったんだね。
作物を大きく育てるために、窒素分が多い肥料である鶏ふんを選択するというのは理に適っているし、うちも使っている。
殺虫剤に関しては、そもそもなぜ虫に食われるのか―――という根本的な原因を考えると、人間が管理している畑というものは、自然全体では「不健康な要素」なわけで、雑草もなくおいしそうな葉っぱが生えていたら、それは虫も食べたくなるよねと言う...。
ちなみに大石農産では、市場で求められている「見た目の美しさ」と、何より「安定供給」を最重要視しているので、大根にだけは殺虫剤を使っているけど、ソバには使っていない。
鶏ふんを手に取り、臭いもチェック。左からウイリアムズさん、大石社長、佐藤さん。
酵素の話
ウイリアムズさんは酵素を使わないと言っていましたが、大石農産では重要視しているポイントですよね。その違いは何でしょうか。
大石:
それは作っているものが違うからだね。
ウイリアムズさんは穀物メイン(土の上にできるもの)、うちは大根メイン(土の中にできるもの)。土の中で作物が育つときに、酵素の影響を必ず受けるはず、というのが持論なんだ。だから大石農産では酵素を重要視している。
酵素というのは簡単に言うと、生体内の化学反応を触媒するたんぱく質なわけだけど、たくさんの種類があるんだ。また土の中にはやはりたくさんの種類の微生物がいる。
畑ごとに分布は異なるけれども、酵素も微生物も多くの種類がいたほうが健康な土になり、バランスも整うと思っている。だから大根収穫までに数回、「健康な土づくりのために補う」という気持ちで畑に酵素を撒いているんだ。
酵素を「使う」「使わない」で考えると価値観が違うように感じるかもしれないけど、健康な土づくりやおいしい作物を作りたいという思いは一緒なので、違和感はなかったよ。
酵素や受粉方法、刈り取りや乾燥方法など熱いトークを交わす皆さん。
目指すものは
佐藤さんは「ソバでアメリカ人を健康にできたら」と言っていました。そのためウイリアムズさんが作ったオーガニックな玄そばを仕入れ、そば粉にして全米に売り込むと。どう感じましたか。
大石:
大石農産が目指すのは「健康な作物で、お客さんの健康を作る」。
佐藤さんやウイリアムズさんと同じ方向を向いている、と思ったね。おいしいソバを食べて健康になるなんて、すごくいいと思う。
何より、こちらのソバ作りのノウハウや蕎麦読本などの知識や食文化がアメリカで役に立ち、ひいてはアメリカ人の健康を支えるなんて、素晴らしい社会貢献だと思う。
「世界平和」といったらテーマが壮大すぎるかもしれないけど、いがみ合わず、助け合うという共生社会の一助になるのではないかと考えている。
まぁ難しい話は抜きにしても、ウイリアムズさんは「普通の農家のおじさん」だったね。そこにアメリカとか日本とかはなかった。
お互いに目指す方向は同じと思うので、今後とも末永くお付き合いしていきたい。
日米ソバ農家のアツいトークの陰には、同じ心意気が流れていたのだな、と改めて思いました。作物の健康を通じて人を健康にしたいと考える農家さんに、国境はありませんでした。
日米双方の生産者さんから、今後も強い信念を貫いていく決意と覚悟を感じさせていただいた取材となりました。
どうもありがとうございました!