大樹町からお届け畑の真ん中だより
大石農産シーズンイン直前企画!「親子放談2019」
記録的に雪が少なかった今年の十勝地方も、帳尻を合わすように3月に入ってから数回雪が積もりました。
そうはいっても春はすぐそこ!
約5ヶ月間の休暇が明け、4月からいよいよ本格的な農作業がスタートします。
今回は畑シーズン直前企画として、大石農産の大石社長と息子3人による、今シーズンの展望や個人的な目標などを語る会を設けました。
題して「親子放談2019」!
さあ、どんな話が飛び出すでしょうか。
==メンバー============
社長:大石富一(とみかず/以下:社長)写真手前
長男:大石将寛(まさひろ/以下:将寛)写真左
次男:大石浩輝(ひろき/以下:浩輝)写真右
三男:大石託三(たくみ/以下:託三)写真中央
まずは昨シーズンのおさらいからお願いします。昨シーズンはどんな年でしたか。
社長:
去年は大根がよかった。とにかく過去最高の収量を記録したのが一番のニュース。
加えて、豊作だと値崩れしがちなんだけど、去年は単価もよかったので売り上げが伸びた。
例年通りの作付面積で収量が上がったというのは、廃棄する大根が少なかったということ。作付した大根のうち、出荷できない、つまり廃棄した大根を引いたものの割合を「歩留まり」というんだけど、この歩留まり率を上げることができたのが大きい。
将寛:
昨年の歩留まり率は、大石農産が目標とする70%後半まで上げることができました。
これは全て「土」のおかげ。畑のバランスが整わないと歩留まりを上げることはできません。そして一度崩れたバランスを戻すのは難しいので、毎年しっかり管理することが必要なんです。
社長:
ただ、大根はよかったけどソバがよくなかった。6月の長雨で畑が冠水してしまい、出たばかりのソバの芽が消えてしまった。その後も水が引かず、結局植え直しもできないまま...
託三:
雑草だらけのソバ畑になりました。
社長:
2,000俵の目標に対し、約3分の1の750俵しか収穫できなかった。品質は平年並だったけど、とにかく採れなかった。天候はどうにもならないけど、うーん、やっぱり残念だったね。
ソバの不足分を大根がカバーした形だったのですね。では今シーズンについて教えてください。例年になく雪が少なかった今年の冬ですが、影響などはありますか?
社長:
まず、今年の作付面積は大根が30ha、ソバは80ha。どちらも例年通りだね。
浩輝:
雪が少ない影響についてよく聞かれるんですが、大石農産が作っている大根とソバに関していえば、特に影響はないです。
というのも、秋まき小麦など去年の秋に種をまいて越冬するような作物は、雪が布団代わりになって作物を守ってくれるので、雪が少ないとせっかく植えた作物がしばれ(凍結)ちゃうから影響があるんです。
大根やソバなど、これから種をまくものについては、雪の量についての影響はないですね。
社長:
ただまあ、どのくらいの深さまで土がしばれているかはわからない。それは畑に入ってみないと何とも。3月の雪で、まだしばらく畑に入れないからね。
しばれの有り・なしで差が出るかというと...比較用の畑を作って比べるしかないんじゃないかなぁ。手間や費用をかけて、売り物の大根を作っている畑を使って確かめるほどの問題とは考えていないので、それはやらないかな。
今年の播種(種まき)について教えてください。
社長:
今のところ、初日は4月17日を予定してる。なるべく早く収穫を始めて、選果場が稼働する期間を少しでも長くしたいんだ。
収穫が1日遅れると、その後どんなにがんばってもリカバリーできないからね。
託三:
今は、とにかく早く畑が始まらないかな~っと思っている時期ですね。早く畑に入りたいなあ。
ではお一人ずつ、今年やりたいこと、目標などをどうぞ。
将寛:
昨年から取り組んでいるGAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)取得に向け、たくさんデータを集めたいですね。
こまめに畑を見回り、いろいろなことを試して研究したい。
例えば肥料や土の中の微生物の状態を分析して畑のバランスを整えたら、農薬の散布回数を減らせるのかとか...。
それには人手が必要なんですが、後輩や4月に入社する新人など戦力が充実してきたので、いい方向に向かっていけると期待しています。
浩輝:
農作業の意義を考え、精査していきたいですね。
昔からこの方法でやっているから「こうすべき」ではなく、一つ一つの作業に対し「本当にその作業や手順は必要か」を常に考えていきたい。
理念に基づいた作業や手順であれば、効率化だけでなく、仕事に対するモチベーションも上がるはずです。
また、修学旅行の高校生の農業体験受け入れや、JA大樹町青年部として、地元小学生への食育活動なども続けていきたいです。
託三:
とにかくソバ!ソバがもっと採れるようにしたいですねぇ。そのためにどんなことをするのか、工夫が必要だと感じています。
その工夫について、スタッフと一緒に考えていきたい。
一方的に「スタッフを育てる」ではなく、スタッフが「自分ごと」として興味を持ち、僕たちと同じ方向を向いて一緒に勉強していくのが理想。一緒に育ちたいです。
社長:
息子たちがそれぞれ自立した考え方を持ってきてくれたのがいいね。
だから「大石農産」は心配してなくて、今考えているのは、ここから「外」へ、大石農産の思いを伝えたいということ。
農家だけでなく、周りの人や地域、関連する企業、関わってくれる人たち全てに、大石農産がよい影響を与えていけたら...と思っています。
「放談」と銘打ったものの、とてもまとまりのある「今年の展望」を聞くことができました。密かに、意見の対立や親子げんか的なものが見られるかと思っていたのですが、見事に当てが外れました(笑)。
考えてみれば当たり前ですが、みなさん同じ方向を向いていました。
そして同じ方向に向かってはいるけれど、一人ひとり目指す場所や取り組み方が異なると感じました。例えるなら、4人がそれぞれ異なる色の光の帯を放ち、全員で青い空に幅広い虹を作るような印象を受けました。
さあ、今シーズンもいよいよ始まります。
大石家では播種初日、赤飯を炊いて祝うそうです。
その日まであと少し。今年はどんなドラマが生まれるのでしょうか。
ワクワクしながら、今シーズンの「畑の真ん中だより」を綴っていきたいと思います。